私的読書感想文庫その2「四月になれば彼女は」(著)川村 元気
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写真と言葉の掛け算で表現の可能性を模索しながら活動中。主に「日常的な写真表現」と「旅関連の記事」が主な分野。MVや舞台で演じることも。
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著者 川村 元気
出版年月 2016年11月
出版社 文藝春秋


一言。
残酷な描写やシーンは一切無いのに、不安やなんともいえない衝動感といった感情を与えてくる、残酷なものが描かれた作品だった。
愛だの、恋だの、幸せやそういったもので満ち溢れた世界があることを、曇りもなく、微塵も疑わない人が読むことは、あんまりオススメできないと思った。
それほどのインパクトが、ページをめくればめくるほど、自分に迫り来る。
川村 元気さんの作品は初めて読んだが、こんなに読んでる時と読み終わった時の味が違うとなんとも言えない気持ちになった。
純愛な物語で涙を流すものでは無い
物語は、かつての彼女の手紙が主人公である元彼に送った手紙の内容からはじまる。
それは、まるでこれから始まる物語が、綺麗な物語で、彼らの関係が美しいものになることを予感させるものでもあった。
物語は、そんな彼女からの手紙、現代、過去の回想を繰り返しながら進んでいく。
形がない、見えない、不確かなモノ
この作品を読んで、それまで自分が信じていたり、こうだと思っていた、人や大事な人に対する想いは、いったい何だろうとすごく焦燥感に狩られた。そしてそれは、また自分以外の人もどうなのだろうかと。
普段の時が流れる中で、実態の無い想いが、人生から消えていくような。
それを自分たちに気づかせ、どうしていくのかを考えさせられるそんな作品。
ハッピーエンドで涙を流すようなものではない、だけど心を、胸をえぐられるような衝動を与えられる1冊。
今、不確かなものに違和感を覚えてたり、考え、悩む人に手にとって欲しい。
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